ロックンロール目指してたあの頃。


いきなりだけどここで僕の甘酸っぱい片思いの話をしようと思う。


とうの昔に童貞という殻を破って一皮も二皮も剥けていた高校三年生の頃、僕は某○南予備校に通っていた。


日本史だけ集合授業を受けていたんだけど、そこにね。天使がね。いたのよ。


白い肌、大きな目、綺麗な黒髪、薄い唇、制服から透けるスカイブルーのブラジャー、そして何と言っても女子校出身。


人生で初めて一目惚れを感じた瞬間だったね。ほら、よく電気が走るとかいうじゃん?あれ。まさにあれ。身体中電気が走って危うくイキかけましたもん。若かったしね。ロックンロール目指してた高校生だったしね。


そこで何とかして天使ちゃんに近づきたかったんだけど週一しか日本史のクラスないし、その天使ちゃんの周りにはいつも数体のババコンガが徘徊していた。



当時シャイで切れ味最悪の片手剣しかもっていないような度胸もクソも無い僕だったので、そのババコンガの迫力に圧倒されて声すらかけられない始末。







これは参った。







人生初の一目惚れは叶わずに終わってしまうのか。でも近付こうとするとババコンガがうんこ投げてくるし、どうしよう。とまぁ色々考えた結果。





帰り道を襲えばいいんだ!!!!!




と気付きました。
この圧倒的閃き!やはり恋に恋する男子高校生は凄い。しかし、問題があった。



そう、何を隠そうこの素晴らしい案を思いついたのが日本史の授業が終わる前日。
次の機会を逃したら一生天使ちゃんには会えなくなってしまう。ここで意地を見せろ!ちゃま男頑張れ!と叱咤激励すること24時間。




ついに迎えた日本史の最後の授業。
ポツダム宣言から始まりオイルショック、バカヤロー解散など耳には入ってくるが頭には残らない。そんな中気付けば授業はラスト5分、先生は何やら涙目になりながら「お前なら出来る!お前らなら大丈夫!行ってこい。全力でお前らの持ってるボール、投げてこい。」と激励してくださっている。




この時僕は受験なんて頭に無く「そうか。俺なら大丈夫か。そうだよな、全力でボール。投げてくるよ先生。」と天使ちゃんのことを思いながら頷いていた。





そして運命の時。
ドキドキしながら天使ちゃんの帰りの後をつけるちゃま男。



乗り換える駅は知っていたから天使ちゃんが降りることを確認していざ、アタック。




僕「あ、あの。すいません。」



天使「っ!!?!?」



僕「僕のこと、わかりますか…?」




今ならわかる。
これは完全に間違えだと。「ここはどこ?私は誰?」とナンパされてる相手から聞かれたら迷わず通報されますよね。でもね、天使ちゃん優しかった。





天使「同じクラスの人ですよね!知ってますよ!ちゃま男さん…でしたっけ?」




もうね、昇天しかけたよね。





俺「ずっと前から話したくて、でも機会もなくて、でも今日会えるの最後だったからさ。アドレス、教えてもらえないかな?」




みたいな感じで言ったのよ。ちゃま男、やる時はやるぜ!みたいな。そしたらさー。




天使「嬉しいです!……でも、左手の薬指に指輪してませんでしたか?」




危うくポツダム宣言しかけたよね。
名前は未だしも指輪まで見られてるとは思わなかったから。




それでも「彼女とは前に別れたんだ」と嘘をついて再アタック。運命の糸をビンビン感じてるちゃま男に怖いものはない!




天使「そうなんですか?じゃあ赤外線交換しましょう!」




きたーーーーーーーー!!!!
って感じで携帯出したらね、まさかの彼女とディズニーランドで作ったペアの名前入りの携帯のストラップがびろーんとね。もう止める間も無くびろーんとポケットから出て来ちゃったんですよ。



頭の中まじオイルショック



天使ちゃんも「あ、あれれー?彼女とは別れたって。あれれーー?」とパニクっていたんだけどね。




咄嗟にその場で取った僕の行動が


ストラップ引き千切る。


だったよね。




今ならわかる。
この選択肢最低。高感度マックスのエロゲーですらバッドエンドに急降下するレベル。




それにはさすがの天使ちゃんも引いちゃって愛想笑いされながらフェイドアウトしていったよね。




もう五年も前の話だけど、自分自身に言いたい。




バカヤロー!!!


と。


では、解散!